ATW はカスタムベースにうってつけ?
アウターカスタムや内部カスタムのポイントまとめ
CYBERGUN(サイバーガン)によるColt正式ライセンスにより、リアルかつ精巧に製作されたARTS AIRSOFTの ATW (トレポン)。本サイトでも都度特集を組み紹介してきた ATW だが、このところカスタムベースとして購入されるユーザーも多く、また購入と同時にそのままカスタム依頼されるケースも増えてきた。
▲当店お客様依頼のカスタム ATW 。URG-Iアッパー化とMAGPUL UBRストック装着をし、内部はORGAカスタムを施している。
ATW はレポンにしては購入しやすい価格帯であるにもかかわらず、実銃のM4A1の製造元であるColtにより認可されリアル刻印のレシーバーを持つという点は大きなアドバンテージを持っている。
トレーニングウェポンを名乗るカテゴリーとあって内部はシステマに準拠したシステムとなっており、パーツには互換性もある。
これらを踏まえた ATW の外装・内部それぞれのカスタムについて見て行こう。
ATW のリアルなColtレシーバーはカスタムの幅が広い
実銃の話になるが、アメリカ合衆国の軍や政府機関に納められるColt M4A1は、年代や納入先機関によって細かく刻印が異なる。その種類は多くここでは触れきれないが、一番広く知られているマグウェル部の刻印は ATW でも施されている「PROPERTY OF U.S. GOVT. M4A1 CARBINE CAL. 5.56 MM.」になる。
アメリカ政府以外特に納入先が明記されていない分アウターカスタムの幅が広げやすく、アメリカ軍やアメリカ政府機関・法執行機関などの装備の再現に最も向いている刻印と言っても過言ではないだろう。実際ミリフォトなどでも、軍以外にFBI等でも使用が確認されている。
※MK18mod1 ATW のレシーバーは、メーカー刻印部がCOLT’S MFG表記となり、年代的には20年ほど前のM4A1を再現しています。MK18mod1が活躍し始めた年代よりも前の刻印ですが、既存のM4A1レシーバーやストックされていたレシーバーを流用していたケースも考えられあながち間違いではないようです。VFCやマルイでもMFG刻印を採用しています。
このように汎用性の高いレシーバーとなっているため、ミリタリーカービンやLE系など ATW を用いることでサバゲープレイヤーの趣向に合ったアウターカスタムをしやすいのが特徴だ。
また、 ATW のレシーバーはCNCマシニングにより削り出された6061アルミ合金製となり精度が非常に高い。MIL-A-8625 Type3 硬質アルマイト処理されているため純正のままでも充分だが、別途セラコート等で塗膜施工するのもオススメだ。
刻印は彫刻機により打刻の盛り上がりを細かく再現。個体ごとのシリアルナンバーとなりあなただけのトレポンであることを示している。
内部パーツ<駆動系>のカスタムについて
ATW は内部の設計についても PTW と完全な互換性があるが、ギアボックスについてはケースにアルミ素材を使用するなど軽量化が図られている。ギアの精度も素晴らしいため基本的にギアボックスはカスタムの必要はない。
モーターについてはシステマなどPTW用モーターと取付規格は同じものの、スペックが異なる。メーカー公称では7.4Vバッテリー向けのモーターとしており、高電圧の負荷については少々弱いようだ。11.1Vでも動かせはするものの安定した作動を求めるならばシステマ製モーターやFCC製モーターへの交換がオススメだ。
トレポンモーターは決して安価なパーツではないため、トラブルが発生した際に交換するつもりで、最初は純正のまま使用しても良いだろう。この辺りはユーザーのお好みで判断頂きたい。
※ ATW 純正モーターの11.1V運用についてはメーカー保証外となります。ORGAでご購入頂いた ATW に限り、11.1Vでの試射中にモーターが原因によるトラブルが発生した場合は無償修理、サバイバルゲームやシューティングマッチ等で使用以降の故障は有償修理にて対応致します。
S.E.C.U.(検知基盤)についてもシステマとの互換性があるが、レスポンスを重視するならばシステマやFCCのS.E.C.U.への交換がオススメだ。システマやFCCのS.E.C.U.は高い電圧にも対応できるセッティングのため効果が大きい。ただし、純正でも特別故障しやすいということはないため、純正S.E.C.U.のレスポンスでも充分と感じられるなら交換の必要はない。
※S.E.C.U.交換の際、ロットによりトリガーの調整が必要となる場合があります。
総じて、 ATW は電装パーツについては若干弱い部分があるため、様子を見ながら段階的にシステマ製に入れ替えていくのが良いかもしれない。PTWもそうだが、数年に1度はメンテナンスの必要性やパーツの寿命による交換作業が発生するもの。その時にパーツを交換すれば初期の出費を抑えつつ長い目でトレポンを運用することができる。
内部パーツ<給弾・吸排気系>のカスタムについて
チャンバーやシリンダーについては改善の余地あり、と言いたいのはカスタムショップだからこその雄弁だろうか…。
チャンバー、特にホップについてはシステマ純正に近く、鼓型のパッキンが回転するローラーパッキンが採用されている。システマ純正にも言えることだが、ローラーパッキンは使用環境に合わせたセッティングが難しく素直で伸びのある弾道を引き出すには一筋縄ではいかない。ここはホップパッキンが固定されたものに交換するなどしたいところ。ORGAに ATW のカスタム依頼をされるユーザーは間違いなくFLAT HOPに交換している。
またスプリング式のアジャスタークッションはホップパッキン以上にカスタムしたいポイント。純正のスプリングクッションはアジャスターを保持しつつしっかりとしたホップを掛けるには少々テンションが弱く、できればシリコンゴムなどのクッションに変更したい。
シリンダーについてはアルミ製で軽量なためメリットも大きいのだが、ノズルを保持するOリングが樹脂製のためヘタったり変形しやすい。ここは早めにシステマ製のシリコンOリングに変更することをお勧めする。
さらにシリンダーは、ロットによって加速ポートが空いている場合がある。折角のトレポンなのだからここはフルシリンダーに強めのスプリングでエアコンプレッションを上げていきたいところ。モーター交換の有無や使用バッテリーの電圧のバランスを考えて適宜対応したい。
ATW 純正のチャンバーとシリンダーについては少々辛辣な評価を下したものの、製作精度や品質が悪いわけではないのでそれぞれハウジング等を流用してのカスタムが可能である。純正でもそれなりの弾道性能は示すものの、ちょっとしたカスタムで段違いの弾道に変わるため是非とも手を入れたい部分だ。
ATW をカスタムベースとする場合について、という内容で話を進めてきたが、実際のところ内部をフルカスタムしてしまうとせっかくの低価格であるというアドバンテージが失われかねない。
導入時にカスタムしておくべき最小限のポイントを言うならば、ホップパッキンとアジャスタークッションの交換とピストンヘッドOリングをシリコンに変更、余力があればS.E.C.U.の交換といったところから始め、MK18mod1のスタイルを楽しみながらアウターカスタムへの想いを馳せるのが良いだろう。
モーターについては不調の兆しが見えたら交換を考える、といった形でメンテナンスと同時に段階的に進めていけば負担も少なく済む。
トレポンは初期費用のハードルが高いのは事実だが、そこをかなり下げてくれるという意味では ATW は大きな選択肢を増やしてくれた存在である。パーツなども基盤やモーター等はそこそこ高価ではあるが電動ガンのハイエンドパーツと比較すれば納得のいく額ではある。
トレポンのメンテナンスサイクルの長さも併せ、徐々に完成させていく楽しみ方をするには ATW はうってうつけの素材と言える。